高野秀行,角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」感想

 

早大探検部出身のノンフィクション作家、高野秀行角幡唯介による対談本。
当方は高野氏のファンでそこそこそ著作を読んでいるが、角幡氏の著作は未読の状態。
ところで、本書でさらっと触れられた、鈴木紀夫さんという探検家について紹介したテレビ番組を観たことがある。鈴木さんはフィリピンで残留日本兵の小野田さんを発見したことでよく知られており、その後ヒマラヤで雪男の捜索中に遭難死している。
一緒にテレビを見ていた家族は現実主義で、鈴木さんの行動について、「有名になりたかったからこんなことをしてたんだろう」という内容の分析をしていた。
人は労力に見合ったリターンを求めものである。では、ヒマラヤに雪男を探しにいくのに対して、いったいどんなリターンを求めたのだろうか。
現実主義者の家族に対し、いい年こいて夢見がちな自分は「やっぱそれはロマンだろ」という安直な答えが浮かんでしまう。言うなれば単なる厨二病である。
本書の二人にもそういった厨二病気質のようなものが見て取れる。
二人が所属していた当時の早大探検部には、「ちゃんと就職することは悪いことだ。みたいな雰囲気」、「就職活動している者に対しては白い目を向ける伝統」というような空気があったとのことだ。まさに厨二病である。
だがそれは、純粋さの現れでもある。
子供の頃、多くの人は探検なり冒険を楽しむものである。だが、成長するにつれそれを辞めてしまう。せいぜい「今日はいつもとは別の駅で降りて探検してみようかな」程度のものになってしまうものだ。

高野 「冒険・探検がいつ好きになって探検部に入ったのか」という聞かれ方をよくされるんだけど、そうじゃなくて、みんな昔は好きだったのにどんどんやめてっちゃって(笑)。
角幡 要するに、子供のまんまってことですね(笑)。

だが二人は単なる「こどもおじさん」で終わらず、実際に行動し、結果を残している。

極めた厨二病は凄いのだ。