伊藤洋志 「ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方」感想

ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方

ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方

 

本書は著者が提唱し、それで生活をしているナリワイ(生業)という仕事とは何か、そしてその事例を元に、一般とは少し異なった生活スタイルを提案する内容である。
著者の言うナリワイとは、以下のようなものである。

個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほと頭と体が鍛えられれ、技が身につく仕事

そしてナリワイで生きるとは、年一回で30万円や毎月数回で数万円などの小さな仕事(ナリワイ)を組み合わせて生活を立てていくことをいう。
元々著者はベンチャー企業で働いていたという。その頃は、ストレスのせいか、寝る前にハーゲンダッツを食べないと眠れないこともしばしばあるほどで、睡眠時間を削って稼いだお金がアイス代に消えるという本末転倒な生活だったとのことだ。
自分の時間と健康をマネーと交換したあげく、ストレス解消のために不要な支出をしてしまっていては意味がない。
そこで、ナリワイであるというわけだ。
とはいえ、著者は企業に就職するのはやめて、ナリワイだけで生きろ(自営業者になれ)といっているわけではなく、専業であることの危険性を説いている。
一つの企業で働くということは、その会社が傾いたらその人の人生も傾いてしまうことを意味する。
グローバル競争が激しくなった現代において、企業の生き残りは厳しくなっており、例として、著者が学生だった2004年頃の人気企業だった電機メーカーが、出版時の2012年では大規模なリストラを行ったり、合併されていることが挙げられている。
そのために、企業に勤めながらにして、ナリワイを一つか二つ作ってはどうだろうか、という提案である。
特に最近は人工知能の進歩によって仕事自体がなくなってしまうといわれており、副業を認める企業も増えている現状においては妥当な考え方と思われる。
しかし、著者の事例から考えるに、ナリワイを作るのには予算はかからないが、それと引き換えにかなりのコミュニケーション能力が求められるのではないだろうか。
本書を読んでも、そこで二の足を踏んでしまう人がいるのではないかと思った。
ところで、自分はお正月になると、親戚の年賀状を印刷してあげているのだが、その際にいくばくかのお礼をもらうことがある。これってナリワイなのだろうか。